AIの歴史 第二次ブーム(知識ベースとエキスパートシステム)
- 作成日: 2025-02-08
- 更新日: 2025-02-11
- カテゴリ: AIの歴史
第2次AIブーム

第2次AIブームでは知識ベースや推論エンジンを使ったエキスパートシステムが代表的です。
エキスパートシステムはMYCINやEMYCINなどが有名です。
これらは専門的な情報を提供するシステムで、知識ベースというデータベースと推論エンジンで構成されています。
この記事では第2次AIブームについて詳しく解説していきます。
エキスパートシステム
エキスパートシステムは第2次AIブームを代表する技術です。
これは知識ベースというデータベースと、推論エンジンという駆動エンジンによって、稼働するソフトウェア的なシステムです。
代表的なシステムにはMYCINやEMYCINなどがあります。
- MYCIN
- EMYCIN
- 知識ベース
- 推論エンジン
知識ベース
知識ベースとは専門的な情報が蓄えられているデータベースのことです。
たとえば医療システムにおいては薬の名前や、細菌の名前などです。
この知識ベースを推論エンジンで参照することでシステムを稼働させます。
オントロジー
オントロジーはAIのために知識を体系的に表現するものです。
専門分野においては言葉の関係性が形式的に書かれています。
エキスパートシステムの知識の表現方法として使われます。
概念の階層構造、関係性、推論可能な形での表現などが特徴的です。
医療分野や疾病分類などに使われたりします。
あるいは化学の物質分類、生物の分類体系などです。
オントロジーの知見は現代のAIシステムにおいての知識表現やセマンティックウェブなどの基礎になっています。
推論エンジン
推論エンジンとはそのまんまですが推論を行うエンジンです。
たとえばユーザーに質問をして、その質問によって答えを推論するというのが一般的な質問です。
質問の有効性としては、たとえば(こんなシステムはないと思いますが)「はい/いいえ」の質問で個人の住所を当てることも可能です。
「はい/いいえ」で対象を狭めていくことで答えをしぼっていき、それによって答えを導きます。
医療システムも原理はこれと同じです。
MYCINの登場
MYCIN(マイシン)は1970年代にスタンフォード大学で開発された医療診断システムです。
お医者さんシステムですね。
感染症の診断や抗生物質の処方の支援などをやっていました。
約450個のルールを持つ知識ベースを使っています。
確信度因子(Certainty Factor)による不確実性の取り扱いが特徴的です。
また、医師に診断根拠を説明する機能も実装されていました。
MYCINの仕組み
MYCINは仕組み的には単純です。
医師に対して質問をします。「はい/いいえ」などの単純なものや、短い文章で答える質問もあります。
この質問によって最終的に病気の犯人とされる細菌名のリストとその信頼度、なぜそう判断したかなど、推奨する治療コースを表示します。
MYCINの成功と導入
MYCINはシステムとしては成功したシステムでしたが、現在などは確率的フレームワークの警鐘として例に出されることがあります。
MYCINの診断結果は65%ほどの正しさがありましたが、専門医の80%よりは劣る結果でした。
また医療現場ではMYCINが導入されることはありませんでした。
責任の所在をどうするのかという問題や、専門医が受け入れに抵抗したとも言われています。
EMYCINの登場
EMYCINはMYCINから推論エンジン部分を取り出した汎用的なシステムです。
知識ベースを交換することで異なる分野にも適用可能です。
エキスパートシステムの構築ツールの先駆けと言われています。
ドメイン独立の推論メカニズムを実現しました。
おわりに
AIの第2次ブームはエキスパートシステムの時代でした。
この第2次ブームの次はいよいよ2000年代からの第2次ブームになります。